新型コロナウイルスと超低温コールドチェーンの必要性

スターリング超低温冷凍庫のモニターを見るUPSスタッフ

ワープ・スピード作戦は、わずか数か月でコロナワクチンを開発、配給するという難題に挑む、米国と民間部門間の数十億ドル規模のプロジェクトです。

認可が下りれば、およそ30000万回分のワクチンが、早ければ1月にも利用できるようになります。また、ほかの製剤メーカーと研究者も記録的な速さで独自の治療法開発にしのぎを削っています。

そのため、大手の配送・流通会社は、急速に「超低温(ULT)コールドチェーン」計画に移行しなければなりません。

最も有望な開発中のワクチンは、-80℃(-112°F)の超低温での保管が必須です。これには数千台もの特殊ULT冷凍庫が必要となります。

UPSのような物流企業は目下のところ、米国や欧州の戦略的なエアハブの近くにULTフリーザーファームを設置しています。直近の目標は、新型コロナワクチンが必要な場合に、いつでも保管・出荷できるようにすることです。

このように急速なペースで物事が進展しているため、ULT冷凍庫技術と3PL(サードパーティー・ロジスティクス)業界に急激な変化が生じ、こうした変化が生物薬剤の流通とロジスティクスの将来を急速に形成しつつあります。

人工知能(AI)は既に薬物検査をスピードアップさせていますが、米国国立衛生研究所によれば、他の医薬品の開発にも一役買っています。個々の患者に合わせた治療を行うためには、将来を考慮し適切な技術を選択することが必須です。

冷凍庫のボトルをチェックするUPS ヘルスケアのスタッフ

最近のULT冷凍庫

ほとんどのULTは商用コンプレッサー技術を利用し、電源のオン/オフを繰り返して温度調節を行っています。しかし、機械が複雑になるため、頻繁なメンテナンスが必要です。十分な電力と広いスペースを要し、かなりの熱が発生するため、冷暖房経費もかさみます。ところがこれが業界標準となっています。

近年、新型のULT冷凍庫技術が急速に採用されているのは、こうした問題の多くが解決されているからです。このようなULTは、スターリングエンジンの基本設計を取り入れ、可動部品が少なく、システムにオイルを必要としない自由ピストン式スターリングエンジンを採用しています。

そのためULTは実質的にメンテナンスが不要で、故障しません。エンジンは常に稼働するため、正確に一定温度を保ち、冷凍庫のドアを開けた後でも、すぐに元に戻ります。このフリーピストンエンジンにより、小さな設置面積でより多くの試料を保存でき、消費エネルギーを削減し、周囲への放熱も最低限に抑えられます。

新型コロナウイルスワクチン候補の温度要件が不確実なため、温度範囲を広くしなければならず、このことも-80℃~-20℃の間で試料を確実に保管できる新型ULT冷凍庫への関心度を高める一因になっています。

どのULT技術でも、超低温冷凍庫は今のところ職員が、冷凍庫の性能も管理しながら、手作業で医薬品や試料の出し入れを行わなければならず、管理記録は最低限のものとなっています。業界の変化に追随するため、試料の追跡、温度監視、信頼できる監査証跡を実現できるソリューションに向けて、ULT冷凍庫は転機を迎えています。

「生物製剤試料が真の企業資産になっています。したがって、今では試料管理がいっそう重要度を増しています。」

ULT冷凍装置の遠隔監視・データ管理の登場

ULT冷凍庫では、作業員は試料管理過程での過誤や遅延に対する洞察力が求められます。ドアを開け、表面に霜が付いた試料を分類し、必要なものを見つけます。この時に暖かい空気が流れ込んで、庫内の保管物に触れます。

下流工程、研究、臨床応用目的で試料を取り出す場合、作業員はコールドチェーン管理を維持する必要性を認識していなければなりません。そのためにはクラウド経由のインテリジェンスとデータ管理が必要となります。

今や生物製剤試料が真の企業資産になりました。したがって今では、試料管理がいっそう重要度を増しています。

クラウドネットワークに接続することで、ULT冷凍庫群のセンサーベースの遠隔監視、制御、予測分析が可能になります。継続的なデータストリームにより性能特性を検出して、重要な「オンボード」情報を提供し、適正な試料管理を担保して、生物製剤の効能を向上させます。

将来のULT冷凍庫にはガイド付きアクセス機能が搭載され、研究室管理システムやフリーザーアクセスポイントで、薬瓶のトラッキングと可視化が可能になります。研究者や3PL業者は、試料が冷凍庫内のどこにあるかを正確に把握できるため、コールドチェーン管理を維持して、試料の完全性を向上させることができます。

倉庫内の複数の冷凍庫

ロボット工学とULT「自動販売機」

現在は出荷をする場合、作業員がワクチンなどの生物製剤の箱をULT冷凍庫から取り出し、分類、梱包しています。ロボットは、ULT冷凍庫とのインターフェースとなり、ワクチンの場所の選択、配置、取得をし、プロセスを簡略化します。

ロボットの精確さとスピードは、コールドチェーン管理を更に充実させます。個別の患者向けに遺伝子操作やCRISPR技術を利用し、標的療法を行うオーダーメイド治療が躍進しているなか、ULTは、何億の中から一つの投薬を見つけることができる「事実上の自動販売機」になるでしょう。

流れとしては、ソフトウェアがロボットに指示を出し、必要な場合は、冷凍庫のすべての保管物をほかの冷凍庫に移します。

必然的に情報管理、予測分析、ロボット工学、AIが集約され、それによってあらゆる種類の生物製剤資材に対するより信頼性の高い、強力なコールドチェーン管理が確立されます。

医薬品や生物薬剤が進歩するにつれて、UPS運営施設などにおけるULT保管は、新しいワクチン、療法、医療用試料の情報処理、流通センターとしての役割を担い、自動保管やオンデマンドの即時出荷が可能になります。

ワクチン流通が変化をしようとしている現在と、様相がまったく変わる将来において、順応して成長し続けることが大切です。

企業に最高のコールドチェーン保管ソリューションを提供するため、UPS Healthcareが行うグローバルネットワークへの投資についてご覧ください。

微笑む女性

お問い合せ

お客様のビジネスニーズについて、詳しくお聞かせください。

カスタマイズされたロジスティクス計画が、お客様の成功のためにどのように役立つかを、ご説明させていただきます。

専門家に聞く